紅牙のTRPG的何やかや

鋼の狼と神楽坂朝無

じゃぁいきますね。

何の因果か朝無と一手交えることになった翔輝。

ひさびさの手合わせということで、純粋に喜ぶ朝無をとどめることができなかった。

まぁ、なにより子供相手と高をくくっていたのだが。それが間違いであることはこの後すぐに思い知ることになる。

気がついたら、かえるがつぶれるときのような声を上げて悶絶している自分がいた。

朝無の肘が鳩尾に入ったのだ。

早い。さらに小柄であるゆえか、簡単に死角に入られてしまう。

痛い。全身をくまなく駆けめぐるような痛み。

衝撃を伴わないところから鑑みるに、この痛みは気功による内部破壊ダメージだ。しかも寸分違わず急所に入っている。こんなものを何発も食らってはとても持たない。

…ここまできれいにキまれば、ふつうは一撃でオチるものなのだが。

翔輝のタフネスさに驚きを隠せないのか、一足飛びに間合いを取る朝無。

すご~い。きれいに入ったのに…。

いや、すごいはこっちの台詞だよ。いてて…。

どんどんこい、といわんばかりに翔輝は構えをとる。正直、先ほどと違って今度は気合いがはいっている。

真っ正面からの前蹴り。さすがにそれを甘んじて受けるほど翔輝もぼんくらではない。

ガードではじいた後、足を取りに行く。

が、それよりも早く朝無は翔輝の体を駆け上がり、天井めがけて飛び上がる。

ダイビング・ピーチ・ボンバー!

技を叫ぶあたり、やはりまだ子供である。

三角飛びの要領で天井を蹴り、前回転しながら落ちてくる。このままでは回転力と落下力のプラスされたダブルニーパッドをぶちかまされる。

こう書くとなんかすごそうではあるが、所詮は見せ技の感が否めない。

実際、体重のない朝無ではいまいち威力がないといわざるを得ない。事実、翔輝のガードに阻まれてしまっている。

しかし、両手を使ってのクロスガードでは、朝無を捕まえにゆくことはできない。

案の定、反動で逃げられてしまう。

またしても間合いを取って…と思いきや、着地と同時に跳躍し、側頭部に回し蹴りをいれてくる。急なことでバランスを崩したのか、妙に体が前に泳いでいる。

そうそうやられているわけにもいかない翔輝。左腕一本でガードし、真っ向からはじき返す。

まさに思うつぼだ。

最初の蹴りとは反対方向のこめかみに朝無の踵がめり込む。体が前に泳いでいたのは、初めっからソバットを入れるためのタメだったのだ。

余談だが、初めにガードした方の腕で自らを殴ってしまうというマヌケなオチも付いた。

さらに、襟と袖をとりながら着地し、その勢いのまま背負い投げの要領で放り投げる。

ふつうなら投げた本人はその場にとどまるものだが、朝無は一緒に飛んで、背が地面にたたきつけられると同時に腹部にヒップアタックをいれる。そして、まるでトランポリンで遊んでいる子供のように、軽やかに着地した。

向こうでは、有夜がどこから出したのか「10.00」と書いたプラカードを掲げている。

ヒップアタックを普通にかけたところで、所詮は10歳児。一応鍛えてある翔輝は痛くも痒くもないだろうが、投げられて受け身もとれず、さらに床にはじかれたところに絶妙のタイミングで降ってくる尻に挟まれるとなると、その衝撃力は一気に跳ね上がる。

さらにいえば、こめかみへの痛打で、意識がトんでいたのも、ダメージを深刻にする一因だ。腹筋を締めてガードするといったようなことができなかったのだから。

何でもかんでも受け止めてはじこうとするのはシールド使い特有の癖のようなもので、特に翔輝はそれが顕著だ。無意識のうちに、避けるよりもガードしてしまう。

10歳児である朝無がそんなことまで見抜いていたのかは甚だ怪しいものだが、ともかく勝負はあっさりついた。

やりすぎたかな?

心配そうに近づく朝無だったが、とうの翔輝は何事もなかったかのようにむくりと身を起こす。

ぅわぁ!?

よっぽど驚いたのか、道場の反対側の壁まで、一足飛びに飛びすさる。それにしても何という跳躍力だろうか。

大丈夫なの?

有夜も目を見開いている。

大丈夫なもんか。すんげぇきいたよ。

とかなんとか言いながら、相も変わらずけろりとしたものだ。

いや…そうじゃなくてさぁ…。

さぁ、まだまだいくぞ!

翔輝の常軌を逸したタフネスさには、ただただあきれるばかりである。

まぁいいや。…でもあれだよね。このままじゃ勝負つかないからハンデ上げよう。翔輝は完全武装で…朝無はキック禁止な。

え~?

そのかわり超必までOK

…・さっきのザマじゃしょうがないけど…すっかりなめられてるような。

死んじゃわないかなぁ?

さっきのあれで平気なんだから、2、3発は大丈夫でしょ。防具つけるんだし。

そっか。

ほら、ちゃっちゃと鎧つける!

振り向きざまに「ビシイッ」とでも描き文字が出そうに翔輝を指さす有夜。なぜか、背後には威嚇のための蜃気楼が浮かんでいる。今回はやたらこわい顔つきをした斉天大聖だ。

朝無は身体をほぐすかのように、リズムに乗る。シャドーボクシングに見えないこともないが、どちらかといえば単なるパフォーマンスに近い。やる気は満々のようだ。

その後翔輝が食らう技の数々。ボクサーパンチ、雷光明王流転拳、ハリケーンボルト、ペガサス流星拳、岩山両斬破、虎砲、無空波、菩薩掌、スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー…等など…で、お笑いダンクシュートでとどめ。これでも全治3日(笑)

あとがきというか何と言うか…有夜、朝無兄妹の技はゲーム、アニメ、漫画などのパクリです。

まぁこんな程度の使用で目くじらを立てられることはないと思いますが、一応出典などをわかる限り記しておきます。

ダイビング・ピーチ・ボンバーTHE MOMOTAROH にわのまこと 集英社マンガ

ボクサーパンチ仮面ボクサー 島本和彦 徳間書店マンガ

雷光明王流転拳リングにかけろ2 車田正美 集英社マンガ

ハリケーンボルトリングにかけろ 車田正美 集英社マンガ

ペガサス流星拳聖闘士星矢 車田正美 集英社マンガ

岩山両斬破北斗の拳 武論尊、原哲夫 集英社マンガ

虎砲修羅の門 川原正敏 小学館マンガ

無空波修羅の門 川原正敏 小学館マンガ

菩薩掌修羅の門 川原正敏 小学館マンガ

スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー燃える!お兄さん 佐藤正 集英社マンガ

お笑いダンクシュートセクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん うすた京介 集英社マンガ